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2022.12.06

第39回 JPTAピアノ・オーディション 各会場の全体講評(幼児~C部門)

 
今年もたくさんのご参加をいただきまして、無事に「第39回 JPTAピアノ・オーディション 地区大会」を終えることが出来ました。依然、コロナ禍での開催となりましたが、感染予防に関しまして皆様には多大なるご協力を頂きましたこと、大変感謝いたしております。
各会場におきまして、地区大会の結果が発表されるとともに、幼児部門~C部門の全体講評を審査員の先生方より頂いております。今後のピアノ練習の糧となるお言葉がたくさん御座いますので、ここに掲載させて頂きます。
音楽を志す皆様の発展を、心よりお祈り申し上げます。


《 JPTA 日本ピアノ教育連盟関東甲信越支部 》

【11月20日 JⅠ部門 武蔵野シューベルトホール】
 
皆さん、広いステージでそれぞれに一生懸命集中力を持って弾かれたのが印象的でした。
アウフタクトで始まる曲も多かったのですが、引く前の準備、息使いができると良いです。
テレマンのジーグやバッハのマーチは踊りのリズムをよく意識しましょう。
JⅠの方達は、これからまだまだ成長されますが、レガート、カンタービレ、フレーズを感じるための耳と指の育成が課題になってくると思われます。
美しい音で弾く事も大事です。
大きな音を出そうとおもって必要以上に力を入れたりしない様、身体に合った響きを出されてください。
また、どの様な曲でもイメージをもって、どのように弾きたいか、また聴いてる人にどう伝えたいかという事を心に描いて弾けるようにしていけたらと思います。
テンポに関しては注意して弾けるようになった方が多くなったと感じました。
バランスについても普段の練習場所とホールでは違うので、段々とそうゆうコントロールが出来てくると良いですね。
まだまだ成長できる方々ですから、音楽を楽しみながら長い目で続けられてください。
審査の先生方のご意見をまとめて公表とさせていただきました。

【11月20日 JⅡ部門 武蔵野シューベルトホール】
 
JⅡを受けられた方は、曲の表現力も広がってきた事を感じました。
テンポ感などよく考えて弾く方と、すぐに弾き出してしまう方では、その後の聴こえ方も違ってくるので注意しましょう。
曲が大きくなるにつれ、含まれるモティーフやテーマも増え、曲想、調整も複雑化していきます。
説得力のある演奏をする為には、くっきりとした、細部まで行き届いたイメージ創りが必要となり、構造を理解することが大事になります。
中間部など、短調の箇所になるとメロディの動きなどが停滞してしまい、表情が乏しくなってしまう傾向があったと思います。
この年齢では、形式や和声を理解していく知識は少ないと思うので、どうしたら楽しく面白く弾けるか、悲しい淋しいところはどうしたら‥という様なことを、先生や普段の生活から学びとっていってほしいと思います。
そして、音色に対しても美しい音で弾く事を忘れないで弾いていっていただきたいです。
年齢的にも多くの事を学べ、糧になっていきますから、どうぞ頑張ってください。
以上、審査の先生方のご意見をまとめて講評といたしました。

【11月20日 A部門 カワイ表参道】
 
1人の欠席はありましたが、皆さま日頃の成果をよく発表されていたとは思います。
先生とともにいろいろ研究なされ、演奏に反映なされていましたが、それが中心目的となり、子供らしい伸び伸びした屈託のない演奏とはなりにくい結果となりました。
作曲家の楽想が自分の物となり、自分の身体を通して新鮮なる喜びがピアノから溢れる演奏を少しずつでも出来るようにと願います。

【11月20日 B部門 カワイ表参道】
 
1人も欠ける事なく全員の参加できる演奏を繰り広げられた事、大変嬉しく思います。
今年からB部門は自由曲枠がありました。それぞれに自分の好きな曲を、しかも無理しすぎない選曲でなされておりました。
課題曲ではベートーヴェンが参加者の半数を占め、リストが選曲されていなく選曲に偏りがありました。
これまでピアノを続けて来た皆様、これまでの勉強でピアノとは一生の付き合いになってくれるのではと頼もしく思います。
最後にアドバイスとしては、いつも自分の出す音を集中して聴き、美しいものとする事、そして作曲家の創意工夫をより楽譜から見つけ出し、心と身体がそれを表現するための準備がなされてないと表現とは繋がらないということをお話し致します。

【11月20日 C部門 昭和音大スタジオブリオ】
C1;バッハ・エチュードについて
(バッハ)
・ポリフォニーの音楽ですが、全体のハーモニーもよく聞いて、表現するように気をつけてください。
・特に長い音の響きを、最後までよく聴いてほしいです。
(エチュード)
・指が先に進みすぎて、音楽の流れに即した呼吸をしてほしいです。
・どこまで一つのフレーズなのか、ということをよく意識してほしいです。
C2;ベートーヴェン
・音を弾いて終わりではなく、音の長さをよく聴いてほしい(何音符を弾いているのか考えて)。
・指揮者の感覚になって、全体を俯瞰しながら作品の構成を考えてみてほしい。
・ピアノ音楽だけでなく、交響曲や弦楽四重奏曲も、できるだけ生演奏でたくさん聴いてほしいです。
他の楽器の響きのイメージをできるようになるとよいでしょう。
C3;自由曲
・それぞれの作曲家の特徴や作曲背景までしっかりと理解した演奏を心がけてほしいです。
・この曲をこんなふうに弾きたい!という気持ちが全面に出る演奏を期待したいです。

【11月23日 幼児部門 カワイ表参道】
・小さな体で大きなフルコンサートのグランドピアノを立派に弾いていた。
・表現意欲の感じられる演奏や、曲想をしっかりとらえた表現(オバケの足跡など)も見られ、
強弱やタッチにも配慮した演奏もあり良かった。
・f の音を力んで出し過ぎて硬くなる例なども見られたが、子供の頃からきれいな音、美しい音を目指してほしい。
・幼児期から基本的な拍子感、リズム感、和声感、レガート、メロディと伴奏のバランスなどを身につけると、
その後の成長が違うので、ぜひ頑張ってほしい。
・今日の経験を活かして、また楽しくピアノを学んでいってほしい。

【11月23日 JⅠ部門 カワイ表参道】
・ややレベルにばらつきはあったが、全体として日頃の練習の成果を充分に発揮しているように見受けられた。
・テンポ設定、フレーズの作り方、呼吸などが上手くいくかどうかで演奏は大きく違ってくる。
普段から本番を想定しつつそれらに留意して練習することが大切。
・f の響きが豊かな人と硬い人、演奏がしなやかな人と硬い人の差が見られた。
アウフタクトの扱いが苦手な人が多かった。
・f、p などは楽譜を直訳した日本語の固定的な概念として捉えず、どのようなf、p なのかを考えて表現してほしい。
・ジーグ、ワルツ等、舞曲系の課題曲がいくつかあったが3拍子の円運動的なイメージが掴めていない人が多く、
踊りの動画を観るなどして身体全体でリズムを感じられるようになってほしい。
・レガートやしみじみした情感の表現が苦手な人が目立った。音をただ並べず、曲の性格に合った表現を追求してほしい。

【11月23日 A部門 国立音大附属高校】
・全体的には、皆さん大変努力された成果が聴く事ができ、我々大変喜ばしい事だと思っております。
・ペダリングについてエチュード、バッハに関してはいろいろな解釈がありますが自分の音を
よく聴いて踏むようにして欲しいと思います。
・左手の扱い、バッハは当然ですが他の作曲家も左手もよく聴いてハーモニーを感じられるようになれるとより良いと思います。
・拍子感を感じられない演奏が見受けられました。

以上先生方の意見をまとめました。

【11月23日 B部門 聖徳大学】
・演奏するときの呼吸を大切にしてほしいと思いました。弾き始めるときに唐突に始めてしまう、
強い音を出すときに準備なく出してしまう、そのようなことがないようにしてほしいです。
・音楽は時間の藝術なので、演奏する際にはリズムにのって弾いていただきたいです。音を出してしまって、
その結果が音楽の時間(リズム)になるのではなく、先に音楽の時間があり、そこに音を入れていくことを意識してほしいです。
・楽譜をより深く読んで、勉強してほしいと思います。音の長さやアーティキュレーションなど、
楽譜を細かく読んでいただきたいと思います。
同時に、表面的なことだけではなく、その背景にあるものを深く調べて勉強していただきたいです。
・ピアノの音をもっと大切にしてほしいです(ピアノでもフォルテでも)。
ピアノは弾けば音は出ますが、ピアノの音色を作るということに気づいて、ただ叩くだけにならないで、
ひとつずつの音を大切に出してほしいと思います。
・綺麗なメロディーがあったときに、自分で声に出してうたってみてから、弾いてみることを試してほしいです。

【11月26日 幼児部門 カワイ表参道】
全参加者がよくお勉強して、その成果を出していたと思いますが、まだ大きなピアノで演奏する機会が少ない為か、左右のバランスのコントロールが不十分なケースが多かったと思いました。
まだ演奏することで精一杯かもしれませんが、幼児の時からメロディーを声を出して歌うことを心がける指導がとても重要であると痛感しています。

【11月26日 JⅡ部門 カワイ表参道】
 
成長と共に、音楽を表現する意欲が増してきて、全体として表現の幅が広がっていると感じております。
ただ、それをどのように音楽として表現するかという課題、音楽的な拍感を感じる指導、強弱でも音楽的な強弱、音色の使い分けなど、子供の頃から意識して練習することを大切にしてほしいと思います。

【11月27日 JⅡ部門 カワイ表参道】
・フンメルやクレメンティは、生き生きとした良い演奏がありましたが、速すぎて余裕のない演奏も見受けられました。
紡ぎ歌やガヴォットは、逆に遅すぎる演奏もあったので、適切なテンポを見つけましょう。


・伴奏が目立って、メロディーラインが聞き取りにくい演奏が結構ありました。
全体の響きを聴き取る耳を養いましょう。

・フレーズは雰囲気のまとまりを表します。気持ちを切り替えて次のフレーズに入りましょう。

・正しい音を鳴らすのと同じくらい、拍子もしっかりと意識しましょう。
音楽がより生き生きと活気が増します。

【12月4日 C部門 桐朋学園大学調布キャンパス】
・ペダルの使い方について
 何のために使うのかを考えること。濁ってしまったり、土台になるバスの響きが入らないことがあったり、
 豊かさやつながりのために使った方が良いのに、使わなかったりなど。さらに研究して下さい。

・左右のバランスについて
 この件では二通りありました。まず左手の伴奏に対して気持ちが足りないこと。これは、和音が変わって変化する時などに大事なことです。
 二つめは、今日皆さんが弾いた多くの曲は右手が主役のメロディーを受け持っています。少し右手への気持ちが足りないのではと言うことでした。

・今回皆さんの演奏聞いて感じた事は、その曲を選んだことに対する演奏者の思いが伝わってこなかったことです。
 我々は作曲家が書いた曲を演奏します。作曲家がどんな気持ちで書いたのだろう?それに対して自分はこんな風に感じるというような様子が、
 どこかにチラリとでも見えるとよかったです。

・これからはますます基礎力の充実を図るべく励んでいって欲しいと思います。それには正しい練習しかありません。
 自分の音を良く聴くということも大切です。前述の左右のバランスやペダルの事とも関係してきます。
 そしていろんな曲を体験して頑張ってください。

 5人の審査員の先生方のいろいろな感想、ご意見をまとめてみました。話題は順不同です。

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